槇塚 登

香川県にある鉄工所でものづくりをしながら、味わい深い鉄のブローチを作り出す槇塚登さん。瀬戸内海を照らす灯台や、行き交う船など、実在する海の風景をモチーフにした作品を手に取ると、穏やかで暖かい瀬戸内の風景が目に浮かんきます。お気に入りの作品を身につけて、モチーフとなったその場所へ旅に出かけてみては?

【槇塚 登さんに聞きました】

01 ご来場いただくみなさまに向けて自己紹介をお願いします
私は四国は香川県の瀬戸内で生まれ育ち、鉄工所に勤務しながら作品を作っています。階段や手摺、建具などの建築金物をはじめとして家具、什器、フライパンなどの生活道具からアート作品まで幅広く鉄という固いけど柔軟な素材と日々向かい合う生活をしております。灯台や船が好きです。

02 ブローチ博(作品・商品)の見どころを教えて下さい
古い錆びた質感を丁寧に再現しましたのでそのテクスチュアをご覧ください。

03 最後に、会場にお越しになるみなさまへ一言メッセージをお願いします
ノスタルジックでポップな海の風を感じてください。そして香川県にお越しの際には是非うちの工場内に作ったギャラリーに遊びに来てください。焚火で炒ったコーヒーご馳走しますよ!

槇塚 登
香川県高松市木太町2693番地
087-862-2770
http://www.steel-factory.jp

わたしのアイディアの源は...

私はモノを作る時に思う事は、2つのパターンがあるようです。

ひとつ目は生活道具を作る時には誰かのニーズが先にあって作り始めるパターンです。心地よく使ってくれるために考えるデザインであらねばならないと思います。使うときにその道具と扱う人が絵になるようなモノを作りたいと思います。

ふたつ目は、目に映る風景の中の人工物が静かに朽ち果てていく姿に出会う。例えば小さな港を散歩しているときによく目にする古い船。その船体の塗装が剥げて錆びた部分、スクリューにこびりついたフジツボ、錆 び付いたイカリや漁具。岡には古い同じ形をした網納屋が整列している。幾年も潮風にさらされて剥がれた塗装を何度も塗り重ねられ遂には一枚の抽象画のように存在感を得た錆鉄の扉。

沖に目をやると穏やかな瀬戸内海の緑青の中に白い古びた灯台が佇んでいる。雨の日も風の日も嵐の日も穏やかな日も沖を行く船の道しるべとして毎日独り信号を発し続けている。彼もまた何十年という月日がもたらした経年変化というドレスを纏って佇んでいる。
そんな風景に出会った時に私はモノづくりの重要な栄養として身と心に沁み込ませるようにしています。