布博が誕生して5年。東京での開催は今回で8回目。回を重ねるごとに布博がみなさまに根付いてきていると実感しています。その一方で、はじめてお越しくださる方、そして毎回お越しくださる方、すべてのみなさまに楽しんでいただける“布博”とはいったいどのようなものなのだろうと考える時間が増えました。その課題に向かって、十分に準備してきたつもりではありましたが、やはり始まるまでは不安と緊張でいっぱいでした。
肌寒いながらも春の陽気を感じた1日目。ご来場とともにお越しくださるみなさまの姿をみたとき、「この不安は杞憂だった」。そう感じました。心なしか入場口に根をはる桜も、みなさまをお出迎えするかのように、つぼみをほころばせていました。2日目はあいにくの雨。まるで真冬に逆戻りしたような天候となりましたが、終わってみればたくさんのお客さまにご来場いただき、笑顔が咲きこぼれる会場をお届けできたのではと思います。
限りなく自由で、エネルギーを感じることができる色鮮やかなテキスタイル。色とりどりの糸の重なりが生み出す繊細で美しい刺繍。一つ一つ丁寧に編み込まれた、唯一無二の編み小物。創作意欲をかきたてる、個性豊かな手芸雑貨。それぞれの作家の手から紡ぎ出される作品が集まった時、いったいどんな世界が生まれるのか。みなさまの目でお確かめいただけたのならば、主催者冥利に尽きます。
この空間を演出するための舞台をご用意いただいた京王閣、そして調布市のみなさま、最高の舞台にするために一緒に奔走してきた出展者のみなさま、その舞台に一色も二色も彩りを加えてくださったアーティストのみなさま、寒い中笑顔でサポートしてくださったボランティアスタッフのみなさま、そして何よりもこの「布博」という舞台を楽しみに待っていてくださるみなさま、布博に関わるすべてのみなさまへ、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
年輪のように重なり、太く、強く、根付く布博でありたい。これからも成長を続ける布博をあたたかく見守っていただけますと幸いです。この2日間がみなさまのものづくりへの関心や探求心を後押しするきっかけになっていることを祈って。
「布博 in 東京 vol.8」編集長
手紙社 鈴木麻葉